継続的な売上を得られる「ストックビジネス」は、優れたビジネスモデルです。ストックビジネスと比較されるのが「フロービジネス」です。ビジネスを始める上で、ストックビジネスとフロービジネスの違いはきちんと把握しておきたいところです。
また、ストックビジネスは優れたビジネスモデルではあるものの安定した売上を得るにはクリアすべきポイントがあります。そこで、こちらの記事では、ストックビジネスとフロービジネスの違いや、ストックビジネスを成功させるためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
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ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
ストックビジネス(収入)とはどんなことを指すのでしょうか。まずは概要を見てみましょう。
「ストックビジネス」とは、一言でいうと「顧客から継続的に売上を得られるビジネスモデル」のこと。「ストックビジネス」は「ストック(Stock)=蓄える」という意味で、顧客と何らかの約束・契約を結んで、継続的に商品・サービスを提供し、売上を上げるビジネスです。
ストックビジネスは、主に会員ビジネスのことをいいます。企業側のメリットは、一定数の顧客を獲得すれば安定した売上を確保できることです。顧客にとっても定額で安定したサービスを受けられるので、安心して利用し続けられるメリットがあります。
「ストックビジネス」に向いているビジネスの特徴は【継続して利用するサービスを提供している】点です。ストックビジネスが向いている業種の例は、以下の通りです。
これらのビジネスは、サービスを提供する為に設備やシステムに投資が必要なので、一定の利用者を確保が必要です。しかし、一定ライン(損益分岐点、投資回収)を超えると大変利益率の高いビジネスとなり得ます。
フロービジネス(収入)とはどんなことを指すのか、概要や業種の例を紹介します。
ストックビジネス(収入)とは対象的に、飲食店やコンビニ店など来店したお客様との間でその都度商品の売買を行うビジネスを「フロービジネス(収入)」と言います。
「フロービジネス」とは「フロー(flow)=流れる」という意味で、その都度取引・商売で売上を上げるビジネスです。飲食店やコンビニなどの小売店が例として挙げられます。
フロービジネスは「今日売れたから、明日も売れる」という保証はありませんが、顧客のニーズに合う商品やサービスが「はまる」と一気に売上を上げることが可能です。
しかし、安定した収益、成長を考えると、フロービジネスよりもストックビジネスの方が適したビジネスモデルと言えます。
「フロービジネス」に向いているビジネスの特徴は【商品原価の回収が早く、新しい商品・サービスを提供しやすい】点です。フロービジネスは仕入れた商品・材料を販売することで商品原価を回収できます。
フロービジネスが向いている業種の例は、以下の通りです。
特に、通信販売などは1日で数億円を売り上げることもあり、初期投資をあっという間に回収できる可能性もあります。
ストックビジネスで安定した売上を得るためには、クリアすべきハードルが3つあります。
詳しい内容を見ていきましょう。
顧客が利用しなくなったり、サービスに魅力を感じなくなったりすると、契約を解除されてしまい、売上が得られなくなります。顧客が利用し続けたいと思うように、商品やサービスの品質の維持・向上に向けて継続的な企業努力が必要です。
安定した売上を獲得するには、LTV(ライフ・タイム・バリュー:顧客生涯価値)を確保できる仕組み作りと対応できる商品・サービスの開発が必要です。LTVを高める為に大切なのは、以下の4点です。
特に「継続期間を伸ばす」ことで、安定した売上を確保できる期間が伸びます。契約期間を伸ばせれば、新規の利用者を獲得する為に必要なコスト(販売促進費など)は5分の1で済むと言われています。
また、顧客の成長(年齢や立場、ニーズの変化)に対応した商品・サービスを提供できれば、より安定した売上の獲得が可能です。
安定した売上が上がっていても、その為にかかるコスト(固定費・変動費)が多いと利益率が悪化し、提供すればするほど赤字になってしまうリスクがあります。
しかし「固定費」(家賃、人件費、設備投資など)は、売上がUPしてもすぐに増加することはありません。「売上」から「変動費(仕入れ原価や外注費など)」を引いた「限界利益」が多い状態であれば、売上を上げることでより多くの利益を得られます。
逆に、いくら売上が多くても、限界利益率(売上高に対する限界利益の比率)が低い状態では、それほど利益を得られません。
ストックビジネスを展開する際は「限界利益率」が高い状態になるように、固定費を抑えることが肝要です。
最近では、飲食店でもサブスク(サブスクリプション=定額で一定期間利用できる)を導入している店舗が話題になっています。サブスクは、定額を支払うことで一定期間繰り返し利用できる点で会員制に近く、ストック型ビジネスと言えます。
例えば「2,000円で1か月間コーヒーを何杯でも飲める」「1万円で1か月間焼肉食べ放題」など。サブスクは、フロー型とストック型のいいとこ取りをして、大変優れたビジネスモデルとしてメディアやネット記事で取り上げられています。
しかし、実際はあまりサービスが広がっていないようです。顧客の利用頻度が読めなかったり、途中解約のリスクがあったりして、店舗側もなかなか導入に踏み切れていないのが理由として挙げられます。サブスクを成功させるには、きちんとしたビジネス設計が必要です。
サブスクを成功させるには、いくつかのハードルをクリアする必要があります。サブスクを実施する際は、以下のポイントを押さえてみてください。
サブスクは、利用客1人がその都度購入する商品・サービスが、通常の価格よりも安価になる傾向です。そのため、一定数以上の利用者=売上(収入)を確保できなければ、サービスを開始する為に備えたシステムへの投資金などを回収できないリスクが発生します。
サブスクを成功させるなら、一定数以上の利用客を確保する必要があります。
飲食店のサブスクを成功させるには、固定客以外の顧客獲得が必須です。これまでサブスクを導入しなくても利用していたヘビーユーザー以外の顧客を獲得できなければ、ただ客単価を下げることになってしまうからです。
サブスクを導入することで売上を落とすだけになるリスクが発生するため、成功させるには、新規利用客を獲得する努力が必要でしょう。
飲食店がサブスクを実施する際は、提供するサービスの品質を維持する体制が不可欠です。サブスクを利用するお客様が常に来店することを踏まえて、人員体制や仕入れを整えなければなりません。
その為には、店舗はフル稼働状態を維持しつつ「品切れでサービスが提供できない」などということが無いように、十分なストックを確保することが大切です。
スタッフが足りずサービス品質が低下したり、対象商品が品切れで提供できなかったりすると、利用者は「お金を払っているのに自分の権利が奪われた」と不満が大きくなります。その結果、顧客離れ、クレーム、SNSでの悪い口コミの拡散など、客商売として致命的なリスクが発生します。
サブスクを導入するなら、これまで以上に提供サービスの品質に気を配ることが不可欠です。
飲食店にサブスクを取り入れて成功しているお店の例を見てみましょう。こちらでは、9店舗を紹介します。
それぞれ詳しく紹介します。
東京都世田谷発祥の串カツのお店「串カツ田中」では、アルコール類のサブスクを行っています。サブスク「田中で飲みpass」は、1ヶ月間1杯490円(税込)以下のドリンクが250円で飲めます。
なお、「田中で飲みpass」定期券は1枚550円。定期券は、利用可能な店舗ならどこでも利用できるのが嬉しいところ。お酒好きな方に人気のサービスです。
東京に3店舗展開しているCoffee mafiaでは「ハンドドリップをもっと身近に」をコンセプトに多くのサブスクメニューがあります。
例えば「マイボトルプラン」では月額3,000円で1日1回「コーヒー」か「日本茶」が提供されます。1ヵ月毎日利用すれば1杯約100円。毎日淹れたてのコーヒーが100円で飲めるのは、お得といえるでしょう。
Coffee mafiaは、他にも複数のサブスクプランを提供しています。
Coffee mafiaはディナーの時間でサブスク会員券を提示すると、アルコール類を割引してくれます。(コーヒープランでも可)
コーヒーだけでなく、ディナーでも利用できるのがCoffee mafiaの強みです。
ラーメンチェーン店「福しん」では、餃子のサブスクを展開しています。月額500円で6個の餃子を来店するごとに食べられます。
餃子は、ラーメンでは人気のサイドメニューです。福しんの餃子の価格は、1人前200円。つまり、3回来店すれば元が取れます。
福しんは、サブスク以外にも餃子の冷凍自販機やデリバリーサービスを展開しており、さまざまなサービスに力を入れています。
ドーナツチェーン店「ミスタードーナツ」では、食べ放題のサービスを展開しています。ドーナツ好きの方には夢のようなサービスです。
値段は1,650円(税込)。制限時間60分でドーナツはもちろん、値段が高いパイや限定メニューも食べ放題の対象になっています。
食べ放題対象のドーナツの種類が多いので元がとりやすく、お子様連れにも人気です。
アイスクリーム専門店「サーティワン」では、2つのサブスクを展開しています。
「31日間毎日サーティワンチャレンジ」は5,980円と高く「お得なのか」と疑問に感じると思いますが、サーティワンのSサイズのアイスを全品購入すると8,000円以上かかります。
そう考えると、頻繁に利用する方にとってサブスクはお得といえるでしょう。
なお、「今月おすすめのフレーバーを楽しもう」では、毎月に1回サーティワンがおすすめのアイスと交換できます。毎日サーティワンに来店できない方やサブスク初心者の方でも手軽に始めやすいプランです。
二郎系ラーメンの「野郎ラーメン」では、サブスクに加入することで1日1杯ラーメンが無料になるサービスを展開しています。
ただし、値段は月額8,600円と強気。元を取るには、12杯あたり食べる必要がありますが、他のメニューのクーポンや会員カードの併用可能なのは優しいサービスといえます。
東京都港区にあるODEONS COFFEE&GALLERY(オデオンズコーヒーアンドギャラリー)では、コーヒーやラテのサブスクを展開しています。
「コーヒー&ラテMASTER」は月額4,500円で、全てのドリンクが毎日無料になります。その他にも、月替りのこだわり焙煎豆コーヒーとラテを月5回まで無料で利用できる月額1,000円プランなどリーズナブルなコースも用意されているのが特徴です。
なお、月額4,500円のプランでは月替わりでスイーツやフラワーのプレゼントがあり、コーヒー以外でもお客様を満足するための工夫が満載です。
6curryは、招待がないと入会できない会員制のカレー屋です。1日1杯カレーが無料になるほか、1日店長や6curryのコミュニティ「kitchen」への招待が可能になります。月額料金は、レギュラープランで3,980円です。
また、6curryでは、コミュニティのプロデュースやカレーをスパイスから作るカレーワークショップを開催しています。誰かと一緒にカレーを作ることによって、人を思いやる気持ちなどが生まれます。6curryは、人との繋がりも提供しているお店です。
ビストロ酒場 CRAFT×CRAFTでは、クラフトビールが毎日1杯無料2.980円のサブスクを展開しています。2ヵ月のサブスクリプションだと5,500円と割安になるので、継続的に通う方におすすめのプランとなっています。
クラフトビールは単価が高いので、毎日いろいろな味を楽しめるサブスクはビール愛好家に人気です。
ビジネスには、大きく分けて「ストックビジネス」と「フロービジネス」2つの型があります。最近では特に、ストック型とフロー型のいいとこ取りをした「サブスク」ビジネスを行う店舗が増えてきています。
サブスクを導入することで、サブスクメニューのみを注文する顧客が増えたり、サブスク利用者ばかりになって赤字になってしまったりするなど、失敗事例は枚挙にいとまがありません。
もちろん、サブスクサービスを上手く導入し、成功している店舗もあります。しかし「話題だから」と言って、安易に導入することは収益悪化につながりかねません。サブスクを導入するなら、事前にしっかりとしたビジネス設計を行ってから取り組むことをおすすめします。