ATカンパニー株式会社
前代表取締役
浅野 忍土
フランチャイズ・ストラテジスト、浅野忍土が監修。
銀行、ITベンチャーを経て、FCコンサルティング会社であったベンチャー・リンクへ入社し、フランチャイズビジネスに携わる。
8年間、チェーン展開支援を主とした業務に従事し、牛角、しゃぶしゃぶ温野菜、土間土間、銀のさら、タリーズ、カーブスなどを多店舗展開。
結果1,500店舗以上のチェーン展開に関与。
その後、独立し、ATカンパニー(株)を創業し、FC展開を支援。
さらには女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」FC本部を設立し、自らFC本部も経営している。
目次
■障がい児向け学童保育、放課後等デイサービスとは?
2012年4月の障害者自立支援法と児童福祉法の法改正によって、放課後等デイサービスという認可事業が創設され、かつての老人介護や保育同様に民間参入が促されている、新しい事業分野です。
放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく障害児通所支援事業で、放課後等デイサービスという名の通り、放課後や夏休み等の長期休暇中の居場所づくりと生活能力を向上させ自立を促すことを目的した施設です。障がい児童生徒(7~18歳)を対象とした学童保育と言った方がわかりやすいかもしれません。
放課後等デイサービスの利用者は、市区町村の福祉窓口から通所受給者証(障害者手帳とは異なります)の交付を受け、ほとんど経済的負担なく利用できます。
■放課後等デイサービスの創設の経緯
さて、この放課後等デイサービスですが、その前身は児童デイサービスと言われ、福祉という特性柄、社会福祉法人、医療法人、自治体といった一部の組織にしか運営が許されてきませんでした。しかしながら、詳しくは後述致しますが、近年、障がいで悩む子どもの数は増え続け、とりわけ、発達障がい児が増え続けています。
そのような実情を受け、国は2010年障害者自立支援法改正によって、障がい者支援の対象として、発達障がい者も対象と認められ、更に翌2011年障害者基本法改正によって、グレーゾーンと言われてきた発達障がいも正式に障がいとして認められることとなりました。
それによって、発達障がい児童生徒の位置づけも明確になったことによって、放課後に行き場のない、そのような子ども達にとって、放課後等デイサービスの必要性が強く認識され、また速やかに施設不足の解消を図るため、平成24年法改正によって民間に門戸が開かれたのです。
■創設の背景:わずか15年で217%超も増加
では、国が法改正を行い民間に門戸を開放する程の必要性とは、実際どれ程なのかを数値で見ていきたいと思います。
日本の課題として少子高齢化が叫ばれて久しく、出生率低下、人口減少に歯止めが利かない現状から考えると、障がい児童生徒数も子どもの絶対数に相関して減少している、と推測するのが妥当だと思われますが、相反して増加しているという事実があります。
文部科学省の調査結果から、1999年から2014年の15年間で、特別支援学校在籍の児童生徒数は1.5倍以上、義務教育段階における特別学級在籍の児童生徒数2.6倍以上、そして通級による指導を受けている児童生徒においては3倍以上と急増しており、とりわけ障がいのなかでも軽度~中度の子ども達の増加が目立ちます。
義務教育段階(小学校・中学校)における日本の児童生徒数は約1013.6万人(文科省2014年12月学校基本調査)ですので、このうち4%近い約40万1千人もの子供たちが障がいを抱え、特別支援を受けているのです。
■通常学級の生徒の6.5%が発達障がいの可能性、文科省が発表
更に驚くことに、2012年に文部科学省は、「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児 童生徒に関する調査結果について」において、通常学級の在籍者の6.5%程度が、「知的発達には遅れがないものの、学習面又は行動面で著しい困難を示す」と発達障がいの可能性であることを公表しています。
つまり40人クラスであれば1クラスに3名弱の生徒が発達障がいの可能性である計算となります。
■障がい児童生徒数は推計最大135万人
上記から試算しますと、放課後等デイサービス利用対象者の可能性のある児童生徒数は約135万人にも上ります。
現在7~18歳の人口が約1,380万人(2014年10月総務省発表)いますから、障がいを抱えている児童生徒 約3.3%、発達障がいの可能性のある児童生徒6.5%の合計9.8%を乗じますと、約135万人もの障がいに悩んでいる子ども達とそのご両親がいる可能性がある、と推計できます。
この数字は、成長マーケットとして注目を浴びている介護の特養待機者52万、保育の潜在待機児童数80万人よりも大きく深刻であることをご理解頂けると思います。
■放課後等デイサービス業界・業態の特徴
次に業界・業態の特徴を見ていきます。大きな特徴としては次の3点となります。
(1)成長マーケット
上記で見てきたとおり、特養待機者、潜在児童数を大きく上回る最大約144万人もの大きな需要の可能性、つまり今後の市場の強い成長性があること、また、この業界が生まれてから、まだ3年と黎明期であり、国としても民間参入を促進している状態であるため、日本に残された数少ない成長マーケットだと言えます。
(2)高収益かつ安定的なストック収益構造
放課後等デイサービスは、適正配置が行われる認可事業のうえ、その地域の7~18歳と幅広い年齢層が利用対象となり、また長期の継続利用が見込める、非常に顧客生涯価値の高い事業です。そのため、安定的なストック収益構造が築けます。
各地域には老人介護でいうケアマネージャーにあたる障害者支援センターや相談事業所が存在しており、そこから放課後等デイサービス利用者の紹介を受けます。そのため、良いサービスを行うことで優先的に継続的に利用者の紹介を受けることが可能です。つまり、子どものことだけを思い、適切なサービスを提供すること自体が営業活動となります。
また利用者一人1日の利用で概ね1万円が事業者の報酬と国に定めれています。つまり10名定員ですから1日10万円の売上が立つわけです。結果として20~30%と高い利益率を実現できる事業です。また、認可事業で売上の9割以上が国からの報酬になりますので回収リスクも皆無です。
(3)児童福祉という社会貢献インフラ事業
放課後等デイサービスは障がい者支援の施設という、社会にとって必要不可欠なインフラです。そのため、一般的な商品やサービスと比較すると流行り廃れが無く、不況や災害に強い事業という特色を持っています。
■他業態の比較
放課後等デイサービスに対して理解をより深めて頂くために他の事業と比較してみます。
■増える参入事業者とこれからの課題
以上、見てきたように、成長マーケットであること、国の強い後押しがあること、ビジネスとしても社会貢献と収益の両立を実現できる事業で非常に魅力的であるため、多くの事業者がこの分野に参入しており、この1年で1,000施設以上増え、全国に5,500施設以上の放課後等デイサービスが存在していますが、一部自治体を除き、まだまだ需要に対して供給が追い付いてないのが現状です。
この施設不足に加えて、利用者(その親)の真のニーズを満たすサービス提供を行えている放課後等デイサービスが少ないのも、今後の業界の課題であることも見えてきました。その満たされていない真のニーズとは、子どもを自立させるための療育サービスのことです。確かに子どもを安全にお預かりし、ご家族の負担を軽減することもニーズとしてあり、放課後等デイサービスの役割のひとつですが、しかしながら障がいを持つ子どもの親としての一番の望みは、子どもの自立なのです。自身が亡くなった後も一人でしっかりと生きていけるようになってほしいという強い気持ちがあるのです。
ところが、残念ながら、この真のニーズを満たす療育サービスを提供している事業者は、ほとんど見当たりません。とある障がい者支援センターの職員の方からは、放課後等デイサービスの存在を知っているけど、今のサービス内容では使いたくない(預けたくない)という親御さんも少なからずいる、という話も聞いたことがあるくらいです。
そこで、私たちATカンパニーは、利用者の真のニーズを満たすうえでも、将来、放課後等デイサービス事業者が飽和しても利用者に選ばれ続けるためにも、放課後等デイサービス運営においては、預かりサービスに加えて障がいによる日常生活の改善と将来の自立を目指せるよう療育サービスを提供することが重要だと考え、例えば、人とのコミュニケーション、お金と時間の概念などを身に付ける療育に特色を持つ放課後等デイサービスの普及のための提案を行っております。
もし、本レポートをお読み頂き、地域貢献したい、事業として関心がある、業界の課題を解決したい、と少しでもご関心持って頂けたのであれば、是非、私たちが開催している事業説明会にお越しください。事業説明会では、本レポートの内容をより詳細に、また、療育コンテンツを強みとする高付加価値型放課後等デイサービス事業についてご説明させて頂いております。
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