ATカンパニー株式会社
前代表取締役
浅野 忍土
フランチャイズ・ストラテジスト、浅野忍土が監修。
銀行、ITベンチャーを経て、FCコンサルティング会社であったベンチャー・リンクへ入社し、フランチャイズビジネスに携わる。
8年間、チェーン展開支援を主とした業務に従事し、牛角、しゃぶしゃぶ温野菜、土間土間、銀のさら、タリーズ、カーブスなどを多店舗展開。
結果1,500店舗以上のチェーン展開に関与。
その後、独立し、ATカンパニー(株)を創業し、FC展開を支援。
さらには女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」FC本部を設立し、自らFC本部も経営している。
目次
スモールビジネスは、小規模で始められる事業の総称です。
法律などによる明確な定義はなく、副業レベルではじめられることや従業員5名以下で行なっている事業などが該当します。個人事業主やフリーランス、小規模事業主などが行なっている事業はスモールビジネスと考えていいでしょう。事業内容もさまざまで、イラストレーターやライターなど自分の能力を活かす商売もあれば、ECサイトの運営などもスモールビジネスです。
インターネット等の発達により、誰でもアイデアや多少のスキルがあれば世界中を相手に商売ができます。また、開業資金も少額ですむため誰でも手軽に始められるのもメリットです。スモールビジネスから始め、チャンスを掴んで事業を大きくするスタイルが起業のスタイルの1つとして、これから主流になる可能性もあります。
スモールビジネスには一般的な起業と比べてさまざまなメリットがあります。ここでは、スモールビジネスの代表的なメリットを3つ紹介します。
スモールビジネス最大のメリットは開業資金が少額で済み、人手がなくても事業を始めやすいことです。一般的な起業は少なく見積もっても百万円単位の開業資金が必要です。自己資金では賄えず、銀行をはじめとする金融機関に融資を申し込むケースも珍しくありません。
融資は借金の一種ですから、返す必要があります。起業した事業が順調ならば問題ありませんが、うまくいかないと借金だけを残して閉業といった恐れもあるでしょう。また、事業の内容によっては、店舗を借りたりスタッフの確保も必要です。
せっかく画期的な事業のアイデアを思いついたのに、起業までのハードルが高すぎれば実現できずに、アイデアのままで終ってしまいます。スモールビジネスはパソコン1台、自分1人ではじめられる事業も多く存在しています。
事業によっては開業資金0円、家にある機器だけで始められるため、いろいろなアイデアも試せるのがメリットです。たとえ失敗してもダメージが少ないので、思い立ったらすぐに始められます。
スモールビジネスは副業としても始められます。近年は働き方改革によって副業を認める会社も増えました。起業が難しい理由の1つに、「失敗すると収入の道が絶たれる」があげられます。30代、40代で起業しようと思っても「失敗すれば経済的に困窮する」となればなかなか思い切れません。
しかし、正業で収入の道を確保しつつ副業で始められるなら、安心して思い切ったこともできるでしょう。また、終業後だけ、土日だけといった短時間の稼働でも事業を運営できます。
起業開始時から利益を出そうと思ったら、どうしてもできる事業は限られます。「手がけている方がまだ少ない事業をしたい」「今はまだ注目度は少ないが、将来的にブレイクする可能性がある」といった事業をするならスモールビジネスが適しています。
始めようとしている事業が将来的にメジャーな業種になるのか、そのまま消え去ってしまうのかはわからないため、人生のすべてをかけるのは、難しいといえるでしょう。
しかし、副業ならば、ダメだと思ったらダメージが少ないうちに方向転換も容易にできます。また、どの事業が将来的にブレイクするのかわからないので、今のうちにいろいろと試してみたいといった場合もおすすめです。
スモールビジネスにはデメリットもあります。ここでは、スモールビジネスの代表的なデメリットを3つ紹介します。スモールビジネスに参入してみたい方は、メリットだけでなく、デメリットも把握しておきましょう。
少人数、少額の資金で行なうスモールビジネスは軌道に乗りにくいというデメリットがあります。同じ業種でも、お金をかけて宣伝した方が認知度や売り上げは上がります。SNSを利用した口コミでの宣伝もありますが、インパクトが必要です。
また、豊富な資金があればできるけれど、少人数小資金では無理な仕事も珍しくないため、チャンスがあっても実行できない場合も多い傾向です。時間をかけてコツコツと続けていっても、売り上げが微々たるものではモチベーションも上がりません。
ずっと続けていきたいと思える事業であればいいのですが、「最初はスモールでもいずれビッグに」という考えで参入すると、続けられず廃業になるケースもあります。
スモールビジネスは社会的な信用度が低いのもデメリットです。例えば、同じものを扱っている会社でも中小企業よりも大企業の方が信用されやすいのと一緒です。
信用度は融資の受けやすさにも関係します。事業が順調に進んで規模を拡大しようと思っても、下記の悩みに直結してしまうでしょう。
・信用度が低いので金融機関から融資を受けられない
・受けられても少額
また、店舗を借りることも信用を得られなければ、難易度が高いといえます。社会的な信用度が低いので事業が拡大できず、廃業に追い込まれたといった事業もあります。社会的信用度を高めるには、事業が順調にいきだしたら一定の金額をプールしておいて、自己資金で賄う、社会的信用度の高い企業の協力を得るなどの対策が必要です。
スモールビジネスの収入は不安定になりやすい傾向です。売り上げがある程度ある月もあればゼロの月もあるといった状態だと、安定して利益を上げるのは難しいでしょう。1年、2年なら何とか耐えられるかもしれませんが、10年以上この状態では事業を続けたり拡大するのは大変です。
スタッフを雇用して何とか事業を拡大したくても、収入が不安定なら給与を払えません。正業を辞めることもできず、副業のままホソボソと続けていくしか道がなくなります。
スモールビジネスには以下のようなものがあります。
近年では動画配信者などもスモールビジネスとして確立しています。このほか、自作のアクセサリーなどを販売するのも、スモールビジネスの一種です。アイデア次第でいろいろなビジネスを展開できます。
また、2010年代後半からクリエーターやフリーランスと、仕事を依頼したい企業を結びつけるマッチングサイトも複数登場しました。スモールビジネスは業種によって顧客を獲得するのが難しいと言われていますが、マッチングサイトやプラットフォームサイトは自分の能力や技術を求めている方とも出会いやすく、効率的な営業もできます。
スモールビジネスを起業するまでの流れを解説します。すべてのスモールビジネスに当てはまるとは限りませんが、起業する方にとっては参考になります。
スモールビジネスを始めるためには、市場調査からスタートし、自分が始めようとしている事業に対する需要や現在のトレンドを理解しましょう。
例えば、ホームページ作成の仕事を始めようとしたが「現在はSNSの方が宣伝効果があるので、SNSの投稿作成代理も一緒に事業にしよう」といった、より需要の高い事業へとブラッシュアップも可能です。
また、市場調査をすれば、まだ需要は低いけれど、これから伸びそうな事業も見つけられる可能性があります。
どのような事業を行うか明確になったら、事業形態を考えましょう。ネットで仕事の受け渡しをするのが主ならば、事務所を構える必要もありません。パソコンが1台あれば起業できます。
顧客との打ち合わせなどもやりたい場合は、自宅を事務所にする方法もあります。ただし、賃貸物件の場合は自宅を事務所にできない場合もあるので、注意しましょう。
現在はコワーキングスペースなども豊富なので、顧客との打ち合わせのときだけレンタルスペースを借りるなどの方法もあります。
業種や業務形態が決まったら、起業に必要な準備をしましょう。
開業届は義務ではありません。しかし、個人事業主となれば補助金が受けられるなどメリットもあります。最初から一定の利益が見込めるなら、青色申告の申請もしておきましょう。税制上の優遇も受けられます。なお、スモールビジネスの場合最初からすべて揃えなくても、必要に応じて届出を出しても大丈夫です。
すべての準備が終ったら、事業を開始しましょう。副業ではじめるならば正業とのバランスも考えてください。副業を認めている職場でも、本業に影響が出るならば副業を辞めるように指導してくる場合もあります、土日だけ、終業後だけする場合、受ける仕事の量も調整してください。
また、収入があるならば帳簿をきちんとつけましょう。帳簿があやふやだと確定申告の際に苦労します。人を雇ったり店舗を借りたりしている場合は、家賃や人件費が出せるように一定の収入が入るようにしなければなりません。利益が見込めない場合のために自己資金を用意しておきましょう。
今回は、スモールビジネスの定義やメリット・デメリットを紹介しました。副業のメジャー化などによってスモールビジネスに参入する方も増え、そこから新しいビジネスが生まれてもいます。しかし、スモールビジネスはメリットだけでなくデメリットもあります。
スモールビジネスもビジネスであることにかわりありません。事業計画をしっかりとたて、本業とのバランスも考えたうえで起業しましょう。