事業環境の変化は目まぐるしく、先が読みにくい時代です。新たなビジネス業態が次々生み出されて新たな競合が登場する中、いまは安定している企業でも同じビジネスモデルで収益を上げ続けていくことは難しくなっています。
このような事業環境の中、中長期的に発展を続けるための打開策の一つが新規事業の開発です。さまざまな企業が、時代のニーズに応える新たなビジネスモデルを創り、企業の持続的な発展を図るために、新規事業の開発に取り組んでいます。
本レポートでは、新規事業を開発するにあたって、重要な視点を紹介します。
◾︎AIを使う次世代型女性専用フィットネスクラブが話題に!
わずか4年で110加盟を突破した
今、注目のビジネスモデル。
ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
新規事業開発のためのアイデアを考えていくにあたって、まずは「なぜ新規事業が必要なのか」を振り返り「何のためのアイデア出しなのか」を念頭におくことが大切です。企業により「新たな事業の柱を構築したい」「社会貢献できる事業に取り組みたい」「会社規模を大きくしたい」など、新規事業の目的はさまざまでしょう。
新規事業開発を成功させるために、必要なスキルがあります。
5つのスキルについて、詳しく解説していきます。
事業開発の目的は、売れるサービスや売れる商品を開発して1つのビジネスモデルを形成することです。新規事業の開発では、未開領域のマーケットに事業展開を行っていくこともあります。顧客がどのようなサービスや商品を求めていて、現在・未来にどのような製品が売れるのかを見極めなければいけません。
そのためには、競合他社のサービスやマーケットのシェア率・商品、顧客の声など、さまざまな情報を収集する必要があります。また、集めた情報の中で活用できるものは事業内容によって異なるため、使えるデータを見極める能力も必要です。
事業開発部門は他の部門との関わりも多いため、コミュニケーション能力も重要です。社内では、企画がどのようにして成功に結びつくのかデータだけでなく言葉でも証明しなければなりません。外部とのコニュニケーションでは、クライアントとの意見交換や顧客との関係維持、交渉なども行います。
基本的に、事業開発は受動的ではなく自発的な業務が多くあります。そのため自発的に物事を起こすには、コミュニケーションスキルが欠かせません。
計画や戦略をきちんと説明できるプレゼンテーションスキルも重要です。事業開発におけるプレゼンテーションは、開発するビジネスモデルに関わる部門に対して行います。全く新しい事業をプレゼンすることも多いため、方向性をしっかりと指し示す必要があります。
代表者であれば他の役員に納得してもらえるように、担当者であれば代表者や役員の方に納得してもらえるようにプレゼンする必要があります。
論理的思考とは「ロジカルシンキング」のことを指します。物事を論理的に捉えて「なぜ」「どのように」という問いかけから答えを導きます。論理的志向スキルは、正解への筋道を論理立てて形成していくため、特にノウハウの少ない新規事業開発において活用できます。
ロジカルシンキングの手法はいくつもありますが、事業開発において利用できるものには「ゼロベース思考」や「ピラミッド構造」などがあります。
●ゼロベース思考:白紙の状態から物事を構築する手法。先入観や前例を排除して物事を構築するため、新領域開拓の事業において論理的な構築をするために有効的
●ピラミッド構造:事実・根拠・仮説の3つの要素をピラミッド状の構造として捉え、トップダウンとボトムアップ2つのアプローチから論理的に展開する。トップダウンは「仮説・根拠・事実」の順番で、ボトムアップは「事実・根拠・仮説」の順番で物事を構築する。「事実」が必要となる手法のため、すでにノウハウを有した事業において成功率を上げるためなどにも利用できる
このように論理的思考は、筋道を立てて成功へと導きます。企画立ち上げには必要なスキルですが、柔軟な発想が失われる可能性があることも留意して利用しなければなりません。
事業開発において、事業計画を行うスキルは必須です。良い案を出したとしても、計画がしっかりと構築されていなければ成功に結びつかない可能性があるためです。顧客ニーズを見据えたマーケティングや事業の収支計画などを適切に策定して、展開していくことで事業の成功へとつなげられます。
事業計画書を作成し文書化しておけば、現在の進捗把握や、対応する部門の作業内容や方向性を確認する場合にも利用可能です。そのため、FCなどを通じて事業開発を行う場合は、提示された事業計画書の現実性をしっかり確認する必要があるでしょう。
では、新規事業を開発するにあたってどのように進めれば良いのか、迷う企業もあるのではないでしょうか。そこで、おすすめのプロセス例を紹介します。新規事業開発の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
新規事業開発にあたり、おすすめの6つのプロセス例は以下のとおりです。
【プロセス例】
プロセス1. 顧客や自分の「課題」を見つける
プロセス2. 事業ドメインを決定する
プロセス3. 理念・ビジョンを明確にする
プロセス4. 「市場性」と「事業性」を見極める
プロセス5. 製品・サービス作りに必要な環境を整える
プロセス6. 具体的な行動計画を立てる
ただし、上記はあくまでも一例です。企業ごとに背景が異なるので、事前にどんなプロセスが最適なのか確認することをおすすめします。
新規事業を開発するにあたって、以下のような注意点もあります。
①情熱を維持できない
②事前準備の不足
③経験の不足
④資金の不足
①の「情熱を維持できない」に関しては「収益を重視して開発してしまう」「取り組んだ際に情熱を維持できずに継続できなかった」といったケースが多々あります。収益性を重視することは大切ですが、長年取り組むにあたり、事業に対する「想い」がなければ情熱を維持するのは難しくなります。
「②事前準備の不足」「③経験の不足」「④資金の不足」に関しては、不足が生じぬように事前にしっかり確認・準備が必要です。
新規事業開発により大きく成長した企業の事例を4つ紹介します。
詳しい内容を見ていきましょう。
新規事業開発及びFC加盟で、人材採用の質が大きく変わりました。その結果、わずか数年で、売上20億、営業利益1億のFC事業部を作り上げることに成功しました。
新規事業開発及びFC加盟で、既存の組織が活性化して企業として大きく飛躍しました。
近年では、大手スーパーFCを複数展開、さらには初期投資が1億円以上の大手フィットネスFCの業態を40店舗以上展開できるまで成長しました。
過去に数多くの新規事業で失敗するも、代表者の好きな事業分野で大きく成長した企業です。新規事業開発を通じて、代表者が本当にやりたいことはなにか見つけることができました。
新規事業開発及びFC加盟を通じて店舗運営を経験し、自社がFC本部になった事例です。
本業に限界を感じていたところに、新規事業及びFC加盟を通じて大きく飛躍することができました。
新規事業開発においては様々な障壁や苦労があり、決断するには大きな勇気が必要です。
しかし、それを超える成果が得られる可能性は十分にありますので、参考にしてみてください。