このレポートでは、FCというビジネスモデルの仕組みの解説を通して、FC本部の選び方、FCに取組む際のポイントを整理します。
これから新規事業としてFC加盟を検討している方は、どの業種のどんなFCに加盟するかの判断材料になれば幸いです。
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わずか4年で110加盟を突破した
今、注目のビジネスモデル。
ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
まずは、フランチャイズについて基本的なことを押さえておきましょう。
1つずつ解説していきます。
日本でのフランチャイズ(以降「FC」と呼称)ビジネスは、1963年にダスキンや不二家がFC展開を始めたのが最初と言われています。
当時の日本の風景を見た、アメリカのフランコープ社(FC専門のコンサルティング会社)のメンバーが「いずれこの街の看板は、3割近くFCの看板になっている」と言っていたそうですが、あながち大げさではないのが現状です。
マクドナルドやミスタードーナツ、セブンイレブン等のアメリカ発のFCの日本進出に始まり、ファミリーマートやマツモトキヨシ、モスフードサービスなど、日本独自のFCも展開。
今や飲食業・小売業だけでなく、不動産販売・自動車修理業・学習塾・各種レンタル店・フィットネスクラブと、様々なサービス業でFC化が広がっています。
フランチャイズとは、簡単にいうと、本部がノウハウを提供し、加盟店が買うという大変シンプルなシステムです。どんな業界・業種・業態でも導入可能な経営手法といえます。
そもそもFCとは「親業者が加盟店に対し、商標や商号の使用とともに与える一定地域内での独占販売権を与え、その見返りに特約料を徴収する」(goo国語辞典)とあるように、FC本部がFC加盟店に「特権」を与えるシステムです。
FC本部が開発した商標(マークや看板)、商品やサービス、営業の方法など「営業活動のために開発された必要な要素(ノウハウ)」をビジネスパッケージにしてFC加盟店に提供。契約した地域内で、ビジネスパッケージを使って営業できる特権を与えます。FC加盟店はその対価として、加盟金やロイヤルティー等をFC本部に支払います。
FC本部、加盟店の役割をそれぞれまとめると
と、それぞれの立場から事業の発展を支えていきます。
「FCの本質はどこにあり、FCに加盟する本当のメリットはどこにあるのか」ということに関して、明確に整理して、理解されている方は少ないように思われます。
FCに加盟せず自前でビジネスを興すなら、自社で商品・サービスを開発し、店舗(オフィス)を構えることでスタートできます。ただし、お客様の嗜好の変化や競合とのサービス開発競争など、自社で続けつつ、店舗の拡大・顧客の開拓などあらゆる業務を全て自社で賄わなければなりません。
その点FCの場合は、商品・サービス、競合対策などは本部が担当し、加盟店は店舗の拡大や顧客の開拓に専念できます。FC本部と加盟店、それぞれがスピーディーに事業を拡大する上で、合理的なシステムです。
では、FC展開(FC加盟)して店舗展開する方が有効で、直営店舗展開するよりも良いかというと、決してそうではありません。例えばファストファッションの「ユニクロ」は直営店と主体として、多店舗展開で今の地位を築いています。
FCで複数店舗展開か直営で複数店舗展開か、どちらがいいのかは経営者の「考え方」次第です。
自分にとって、どちらのスタイルが取り組めるのか、ある程度は経営者の好みで選択して良いでしょう。
FC加盟する立場から見たとき、良い本部とはどんな特徴があるのでしょうか。
などの条件を備えているということになります。
とにかく激しく変化する市場の中で発展し続けるためには、競合他社を圧倒する情報を収集し、営業現場で活用できるFC本部であることが必要です。FC展開を始めたばかりの時期は、目新しいサービスで一時的に成長できても、2~3年もすれば、同じような商品・サービスを提供する競合他社が現れ、あっという間に成長にブレーキがかかってしまうからです。
良いFC本部を選ぶには、何を見て判断すればいいでしょうか。実は、良い本部を選ぶ視点と、自社で新規事業に取組む視点は同じです。自社で新規事業を企画する場合も、加盟するFC本部を選ぶ場合も、以下4つの手順を踏んで検討することになります。
詳しい手順を見ていきましょう。
自社で取り組もうとしている事業(現在、同じようなビジネスモデルで展開している企業等をベンチマーク)は、なぜ成功しているのか。成功要因をつぶさに調べます。
FC本部であれば、
などを調べます。
成功要因がなぜ有効だったのか、成功要因になりえた経営環境や時代背景を調べてみましょう。
ターゲットの成功要因の本質、
などを確認します。
経営環境や時代背景が異なると、調べた成功要因がまったく当てはまらないことがあります。特に、法改正や制度改定などにより、事業モデルそのものが変わってしまうケースがあるので注意が必要です。
過去の成功要因が現在も有効なのか調べます。過去に成功しているからと言って、自社の新規事業に取り込んでも上手く行かない可能性があります。過去には成功していたやり方であっても、時代の変化に対応しきれず事業が失敗に終わるのはよくあるケースです。
FC本部の場合も、FC展開を始めた頃と現在の環境を比較して、今でも成功要因であるポイントを確保できているかどうかを確認することが肝要です。
過去の成功要因を分析することで、現在の経営環境における成功要因の分析も可能になります。分析ができたら今後の経営環境を想定し、将来に渡ってその成功要因が保有できるかを確認しましょう。
FC本部はさまざまな成長・改善努力をしています。ただ、その施策が将来の環境変化に対応し、成功要因の獲得に通じた施策でない場合もあります。その点を見極めることは、FC本部を選択する上で大切です。
FC本部が将来の環境変化に対しても成功要因を保有し続けられるか、変化に応じて改善・進化できるかを見極めることが必要です。
新規事業に取組む場合、自社で取り組むか、任せられるFC本部と役割を分担し、スピーディーに展開するか、選ぶのは経営者自身です。
逆に言えば、FCに加盟する場合も、自社で新規事業に取組む時と同じように検討し、第2、第3の創業をする事だと捉えてみてください。その取り組みが可能であると思えたとき、FCに加盟することをお勧めします。