近年のIT・デジタル技術の急速な発展に伴い、多くの企業において「DX(デジタルトランスフォーメーション)化」が進んでいます。
2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を公表したことをきっかけに、日本でもDX化が重要視されるようになりました。OpenAI社が開発したChatGPTを筆頭に、Google社やMicrosoft社など大手IT企業がAIを開発・公表していることによって、今後ますますDX化が推進されるといえるでしょう。
しかし、実際には中小企業を中心に、人材不足やコストなどの問題からDX化を思うように導入できていないように見受けられます。IT技術や市場の変化が激しい現代において、DX化は企業にとって競争優位性を確立・向上させるために必要です。
本記事では、そもそもDXとはどのような内容であり、DX化が進められる理由や背景、メリットや課題点などについても解説します。
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ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
DX化という言葉自体を耳にすることがあっても、実際にどのような概念なのか理解していない方もいるでしょう。少なくないです。
そこで、DX化とはどのような意味であり、推進・導入される理由や背景をについて解説していきます。
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称で、進化したデジタル技術を浸透させせることで、人々の生活をよりよい方向に変化させることです。DXはとく特にビジネス領域で注目されており、DXを企業内で推し進めることをとりわけ「DX化」と呼んでいます。
2004年にウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念であり、徐々に世界中に広まりました。
また、日本でも2018年に経済産業省によって「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」が公表され、DXについて以下のように定義されています。
“「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」”
DX化は、単に業務をデジタル化するだけではなく、デジタル技術を利用することによって、既存の価値観や枠組みといったビジネスモデルを抜本的に変革し、新たなビジネスモデルを生み出すことを意味します。
企業がDX化を推進・導入する理由や背景として、以下の2つが挙げられます。
DX化が推進される大きな理由として、「2025年の壁」があります。「2025年の崖」とは、日本企業における既存システムの刷新がうまく進まず、DX化が遅れることによって、2025年以降に最大年間12兆円の経済損失が生じるとする問題のことです。
また、経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」もDX化を推進する理由のひとつです。「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」の2つで構成されています。「DX推進ガイドライン」の公表によって、企業はDX化を進めやすくなると期待されています。
その後も、国や自治体によるDX認定制度やIT導入補助金などの資金援助を通じて、徐々に各企業でDX化が普及してきました。しかし、実際にDX化に取り組めているのは一部の大企業であり、中小企業などは人材不足やコストの理由から進んでいないのが現状です。
そのため、政府としてもガイドラインの公表や補助金の導入によって、DX化を強く訴えています。
企業がDX化を推進することで得られるメリットとして、主に5つ挙げられます。
DX化によって、経営者は煩雑な業務プロセスを自動化し、デジタルツールを導入することで作業時間の短縮や人件費の削減など大きな効果が期待できます。
身近な例を挙げると、「スマート家電」や「フードデリバリー」などがあります。スマート家電とは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)の一種であり、エアコンや冷蔵庫などの生活家電を離れた場所からでも遠隔操作が可能です。また、フードデリバリーは飲食店の料理などを注文・宅配するサービスであり、店舗の業務効率化を実現できています。
このように、これまで手動で行なっていた労力のかかる作業や冗長な単純作業をデジタル化することで、業務の効率化や時間とコストの節約が実現できます。
新しい商品やサービス、ビジネスモデルなど新規事業を開発・拡大する機会が増えることもDXのメリットです。
たとえば、IoTやAIによって自動で収集・蓄積された購入履歴やアクセス履歴などの膨大な顧客データをマーケティングに活用できます。新規事業につなげ、顧客満足度の向上にも役立つでしょう。とくに、フランチャイズ加盟企業にとっては、特定の顧客に対してよりパーソナライズ(最適化)された商品やサービスを提供できるため、マーケティング戦略として活用の価値があります。
DX化による最先端テクノロジーの活用は、市場や顧客のニーズがリアルタイムで可視化でき、市場への迅速かつ柔軟な対応が可能になります。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を拡充できます。BCPとは、自然災害やシステム障害などの緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑え、事業を継続させるために必要なリスク管理のことです。
DX化によって業務効率化ができている場合、不測の事態が起こっても柔軟に対応できるため、BCPの拡充が求められています。
DX化の推進によって、過去の古い技術で構築された技術や仕組みであるレガシーシステムからの脱却が可能です。
老朽化・形骸化したシステムも使用する限り、人件費やメンテナンス費用などのランニングコストがかかってしまいます。
DX化によって、企業が抱えるブラックボックス化した古き悪しきシステムを見直し、刷新できます。
近年では取り組んでいる企業が多くを占めていますが、働き方改革の実現もDX化による大きなメリットのひとつです。
AIやクラウド・コンピューティング、ビッグデータなどの最新テクノロジーの活用によって、業務時間や残業時間の削減、リモートワークの導入が実現できます。結果として、育児や介護に時間を割きたい方、地方や海外に居住する方など柔軟な働き方を希望する多様な人材の確保につながります。
DX化はシステムを大幅に刷新し、作業効率化や生産性の向上を実現できるなど、多くのメリットがありますが、その一方で、DX化における課題や懸念点などもいくつか存在します。
デメリットについても理解し、吟味したうえで、DX化を推進・導入することが大切です。
DX化にはコスト面での負担が大きいことが挙げられます。
最先端のデジタル技術を活用するため、新しいシステムやツールの導入費用がかかります。また、専門知識や技術が必要なため、エンジニア人材に対する人件費も必要です。初期費用だけでなく、効果が出るまで継続して運用して取り組む必要性からランニングコストもかかります。
DX化で成果を出すと長期的なコスト削減にはなるものの、導入時にはイニシャルコスト(初期費用)がかかるため、事前にしっかりと検討してから導入する必要があります。
日本では、IT人材の不足が問題視されています。
専門的な知識や技術があるIT人材が経営陣でも現場でも不足しているため、内製化できずに外部企業やベンダーに外注せざるを得ないケースも少なくありません。そのため、新しいシステムやサービスの導入時、開発を他社に依存している状態ではスピード感をもって開発や運用を行えません。また、依頼する側である自社にとっても、外注先や納品物に問題ないかなどを判断する必要性からITやDXについて詳しい人材が必要です。とくに、IT業界ではスピード感が求められるため、IT人材の確保や育成は企業にとって急務となっています。
今後、企業間競争に勝ち抜くためには、AIなどの発展によって、ますます希少価値の高い優秀なIT人材を確保・育成することが重要です。
DX化には長期的な視点が求められます。企業でDX化を推進・導入したとしても、短期間で結果が出るとは限りません。
従業員の教育指導やデータの収集・分析などさまざまな課題に直面し、試行錯誤を繰り返すことでようやくそれぞれの企業に合った最適なデジタル技術の活用法を見出し、結果へとつながります。
初期投資などでコストがかかり、時間もかかってしまうこともあるため、短期的な利益や結果を追い求めてしまうかもしれませんが、焦らずに長期的な視点で取り組むことが大切です
DX化には、メリットだけでなく、課題や懸念点もあることを紹介してきましたが、DX化にしっかりと取り組むことで成果を出した企業も多数存在します。実例をご紹介します。
言わずと知れた大手電話通信事業者であるソフトバンク株式会社では、書類業務や人事業務のDX化に成功しています。
システムを導入することで、コールセンターで行なっていた10人体制の業務を1人で完結し、リソースの最適化が実現できています。また、アナログだった人事領域の人材配置業務をデータ分析することで、より客観的な判断ができ、人事業務においてより高いクオリティを担保できるようになりました。
コンビニエンスストアや総合スーパー、銀行、ITサービスなど幅広く事業展開している株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、「攻めのDX」と「守りのDX」という独自のアプローチで積極的にDX化を推進し、AI導入やエンジニア人材の内製化などに成功しています。
「攻めのDX」では、「ラストワンマイルDXプラットフォーム」というAIを活用して配送プロセスを効率化が可能です。普及している配送のニーズや購買意欲がある顧客のニーズを満たし、顧客満足度の向上を目指しています。その反面、「守りのDX」では高いセキュリティ対策システムを導入しています。
近年注目されているDX化を推進することは、企業にとって、将来を左右し、いかに重要であるかがわかります。
デジタル技術が急速に発展し続ける時代を生き抜き、「2025年の壁」などさまざまな問題を乗り越えるためにも、DX化の推進とともに、企業の抜本的な改革が求められます。