近年、少子高齢化に伴い企業が安定して事業活動を行うためには、従業員の健康管理も重要であるという認識が高まってきました。健康経営を取り入れる企業も増えて、従業員の健康を企業がサポートするようになってきたのです。
健康経営のメリットや導入の仕方、健康経営に取り組むときの注意点について解説します。また健康経営を行う企業の事例もあわせて紹介します。
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わずか4年で110加盟を突破した
今、注目のビジネスモデル。
ATカンパニー株式会社
ATカンパニー(株)は、FC営業代行支援会社として2009年に創業。
乳幼児教室「ベビーパーク」をFC店ゼロから、約2年半で220加盟開発。
放課後等デイサービス「ハッピーテラス」をFC1号店から、約2年で101加盟開発
現在は、女性専用AIパーソナルトレーニング「ファディー」の支援に注力し、全国に出店拡大中。
目次
健康経営とは、企業が従業員の健康管理を実施し、改善を目指す取り組みです。今までは、従業員の健康管理は従業員自身で管理するという考え方が一般的でした。しかし従業員の健康が損なわれると、企業の事業活動にも影響が出ることが分かってきたため、健康経営は企業にとって重要な課題であるという認識が広まりました。
組織が従業員の健康を管理・増進を目指すことで、生産性の向上や業績アップが期待できます。健康経営は日本の政府も推進しており、経済産業省が健康経営銘柄制度を設けたり健康経営優良法人認定制度ができたりしています。
今、健康経営が注目されている理由はいくつかあるようです。詳しく見ていきましょう。
日本は、深刻な少子化の問題を抱えています。総務省の「我が国における総人口の長期的推移」によると、日本の総人口のピークは2004年の12,784万人でした。その後はずっと減り続け、2030年には11,522万人、2050年には9,515万人、2100年には4,771万人にまで減ると想定されています。
これは100年間で100年前の明治時代後半の水準とほぼ同じになる計算で、1000年単位で見てもあまり例のない急激な減少です。当然ですが、人口が減ると生産年齢の人口も減ります。企業は今後さらに深刻な人手不足に直面するでしょう。
従業員が健康で長く働いてくれることが、会社の経営基盤の安定にも繋がるのです。
企業は人手不足を補うためにも、現在働いている従業員を長く雇い続けたいと考えるものです。2025年4月には定年が65歳に引き上げられることもあり、今後は職場の平均年齢も上がることが予測されます。
高齢になると健康不安が増進するため、従業員が安心して快適に業務に当たれるよう企業が従業員の健康を管理していく必要性が出てきます。
従業員が健康で快適に働けることは、企業の利益にも大きな影響を与えます。健康経営を提唱したアメリカの臨床心理学者の調査によると、心身が健康な従業員が多い会社は、組織全体のパフォーマンスが発揮しやすいことが分かっています。
従業員の健康が企業の売り上げや利益に影響することがさまざまな面から明らかにされてきており、健康管理は従業員自身の問題ではなく、企業全体の取り組みであるという認識が広まっているのでしょう。
テレワークの普及もあり、近年はよりワークバランスへの関心が高まっています。長時間労働や度重なる残業などは、従業員の心身を疲弊させ健康を損ねる原因となります。また長い時間を業務に費やすことは、プライベートの時間が削られることになり、さらに少子化を推し進めることも考えられるでしょう。
仕事とプライベート両方をバランスよく充実させる生き方や働き方は、結果的に企業の生産性を向上させるため、健康管理が重要視されているのです。
企業が健康経営に取り組み、従業員の健康状態がよくなれば、生産性の向上が期待できます。心身ともに健康な人が社内に増えれば、活気が出てパフォーマンスも上がります。従業員の高齢化が進んでも長く企業に貢献してくれるでしょう。
健康経営によって従業員の健康が維持されれば、医療費の削減にも繋がります。病気や不調による長期休暇や欠勤の低下が期待できるでしょう。
健康経営に取り組めば、優秀な従業員に長く働いてもらえるようになります。従業員の離職率も下がるでしょう。求職者へ健康経営のアピールもできるため、質の高い人材を確保することも可能です。
健康経営を行う企業は、対外的なブランドイメージも上げられます。健康経営に取り組んでいることを公式サイトやプレスリリースなどでアピールしてブランディングを行いましょう。
健康経営は、企業の社会的責任であるCSRや、持続可能な開発目標のSDGsへの取り組みにも繋がります。
健康経営を行い、健康経営優良法人や健康宣言事業などの認定を受けると、保険会社からの保険料割引や自治体または金融機関による金利優遇、各自治体のホームページや広報誌への企業名掲載などのインセンティブを受けられます。
健康経営の取り組みは、企業にさまざまなメリットをもたらします。
健康経営の導入を検討するなら、まずは専門部署を立ち上げましょう。経営者以外にも産業医や健康保険組合、労働組合などとも連携する必要があります。自社が加入する協会けんぽや健康保険組合にも相談しましょう。
チーム内で、健康経営優良法人の必須項目でもある健康づくり担当者を任命します。チームのメンバーは、外部の研修や他社の成功事例などを参考にしながら健康経営についての知識を深めてください。
健康経営の組織ができたら、課題を明確にします。従業員の健康に関する課題は何か、さまざまな資料やデータから分析します。
健康診断やストレスチェックの受診率と結果、部署ごとの残業時間、有給休暇の消化率などが参考になるでしょう。残業時間については、累計以外にも月平均や週平均などを出すとより詳しく分析できます。
課題が分かったらスケジュールを立て、従業員が義務ではなく楽しんで参加できるような内容も取り入れながら実行しましょう。例えば、ラジオ体操や歩数計測、リモートでのトレーニングプログラムなどがおすすめです。
社内外に健康宣言を行います。
などの方法がおすすめです。組織として健康経営に取り組む意思をしっかり伝えることが大切です。
健康経営に取り組むときにはいくつかの注意点があるので留意しておきましょう。
健康経営は、NPO法人「健康経営研究会」の登録商標です。ホームページやプレスリリースなどで健康経営の言葉を使用する際は、事前に健康経営研究会へ連絡しなければいけません。
また、健康経営の言葉の後ろに「®」を付けて表示し、「健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。」という注釈を記載する必要があるので注意しましょう。
健康経営の効果を検証をするためにはデータを集めなければいけません。しかし健康経営を導入した直後は、なかなか成果が見えにくいこともあるでしょう。正確なデータを集めて分析する作業は手間もかかります。
健康経営は長期的に全体で取り組む必要があるため、従業員一人ひとりでは効果を感じにくい場合があります。しかし、健康経営は長期的に継続することで成果が出るものという認識を持って取り組むことが必要です。
健康経営の導入によって、従業員が取り組む課題が増えることがあります。従業員の中には、課題が増えてストレスを感じる人が出てくることも考えられます。
従業員の負担が増える場合もありますが、健康経営の大切さや健康経営によって受けるメリットがどのくらいあるかなどをしっかり従業員に理解してもらう必要があるでしょう。
障害者支援施設や障害福祉サービス事業を行う社会福祉法人大洲育成園では、従業員は法人にとっての宝だという思いから健康宣言をして、健康経営に取り組んでいます。健康経営の活動は地域貢献のひとつと捉え、玄関前に宣言書を掲示したり、施設の入り口からよく見えるところに健康経営優良法人認定の看板を掲げたりして積極的に社外への発信も行っています。
具体的な取り組みとしては、運動機会を増進させるため平日の昼食後に利用者と一緒に天気のいい日はグラウンドで、天気の悪い日なら施設内20分間の歩行運動を実施。また、受動喫煙対策として敷地内を全面禁煙にしています。
自動車販売のネッツトヨタ山陽株式会社では、食生活の改善を目指し社員食堂をゆっくり会話しながら食事ができるようリニューアル。また、カロリー別におかずを選べるヘルシー仕出し弁当の提供も行っています。
運動機会の増進の取り組みとしては、従業員に電子万歩計を携行してもらって、歩いた歩数を集計し、 部署ごとや個人の実績を毎月ニュース形式で発表しているそうです。さらにウォーキングコンテストを定期的に開催し、楽しみながらみんなで運動できる環境づくりを行っています。
飲食店の株式会社弘は、検診の受診を勧奨するために歯科検診の費用補助やがん早期発見のためのセミナーを開催しています。また、コミュニケーションの促進にも役立っている社内の運動会も年1回実施。
社員がホストとなり、アルバイトも含めた全社員が集まって体を動かすことを楽しんでいます。健康経営を取り入れた当初は、社員からは「めんどくさい」という声が多かったものの、最近は 自分のために必要なことだという認識を持つ人も増えてきているそうです。
健康経営は、企業が従業員の健康を管理する取り組みです。従業員が心身ともに健康でいることで、長く快適に働けることはもちろん、企業の生産性や利益の向上が期待できるものです。今後ますます少子高齢化が進む日本では、重要な課題と言えるでしょう。
健康経営を導入する際は、専門組織を立ち上げ社内外に健康宣言をして取り組む必要があります。長期的なビジョンを従業員と共有して、楽しめる要素を取り入れながら行いましょう。